ここはアカデミー賞に興味を持つすべての映画ファンのためのサイトです。1年間を通じてアカデミー賞の行方をウォッチします。
その他、毎週の全米興行収入リポート、日本公開の新作紹介、管理人の鑑賞映画レビューなど総合映画情報を発信します。
    Home > 2007アカデミー賞前哨戦一覧
 
ウェブ サイト内






その1 : ヒュー・ジャックマンのオープニング・パフォーマンス

■ 「ドリームガールズ」コンビによる授賞式大改革

ここ数年、視聴率低下が問題視されているアカデミー賞授賞式。ついに協会も重い腰を上げ、授賞式の大改革に乗り出した。プロデューサーに「ドリームガールズ」の製作&監督コンビを抜擢し、豪華絢爛に楽しいミュージカル風授賞式を!という狙いが果たして視聴者にどう受け止められるのか。今年の授賞式は開幕前から熱かった!


上品に、そして機能的に設計された授賞式会場

大きく簾(すだれ)になった銀のシャンデリアが天井から吊下げられた瀟洒なセット。青い照明が上品さを醸し出す。プロデューサーが「ドリームガールズ」コンビ、ミュージカル振り付けが「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマンとくればセットも派手にケバケバしく飾られるかと思いきや、品のある豪華さできれいにまとめられていた。

中央に据えられた小型の円形ステージを取り囲むようにVIP席が並ぶ。ステージと最前列の座席までは歩幅にして一歩程度。俯瞰で会場を見ると、ステージとVIP席が一体でひとつの円を形成しており、その他の座席もゆるやかな弧を描くように配置され、複数の円が隣接するような美しいデザインとなっている。

■ 新ホスト、ヒュー・ジャックマン登場!

舞台袖よりタキシードに身を包んだヒュー・ジャックマン登場。まずはくしゃくしゃの人懐こい笑顔で会場を見渡す。まずは授賞式開会のご挨拶を無難にまとめると、早速ノミニー俳優いじりに突入。歌と踊りで見せる前にトークで勝負とは意外な展開だ。

「イギリス人のケイト・ウィンスレットは『愛を読むひと』でドイツ人、アメリカ人のロバート・ダウニー・Jr.は『トロピック・サンダー』で黒人役を演じるオーストラリア人を演じてノミネートされました。そしてオーストラリア人の私は『オーストラリア』という映画でオーストラリア人を演じて……司会を務めます」会場笑い。拍手も沸き起こる。自虐ネタからとは恐れ入った。さらにネタは続く。
「この不況ですから、きっと私の次回作は『ニュージーランド』です」

一際大きな笑いが起きる。つかみはOKだ。

「不況のせいでオープニングのパフォーマンスをする予算が出ないと言われましたが……やりますよ」と前置きして、いよいよジャックマンの腕の見せ所となるダンス・ナンバーのスタート!

ステージに、つぎはぎだらけのハリボテで作られた『クイズ$ミリオネア』のセットが登場。ジャックマンがクイズ解答者の席に座って静かに歌いだす。
♪ミリオネアになれるかなんて本当はどうでもいい
  友達に電話をかけたいだけなのさ

ケイト・ウィンスレットの元に歩み寄り、彼女の手をとって歌う。
♪きみのためなら、排泄物の海を泳いだっていい

映画のワンシーンを茶化した内容。ウィンスレットは苦笑い。ステージと客席の距離が近い分、最前列の出席者たちをイジりやすい。

続いては『ミルク』。“SOAP”と書かれた木の箱の上に乗り、ボール紙で出来たスピーカーもどきを手に歌い出したかと思えば、
♪ゲイで悪いか!僕はミルク!
と急激にテンションがあがり、舞台袖から登場したバックダンサーたちとともに激しいダンスを繰り広げる。


見せ場をさらうアン・ハサウェイ

お次は『ダークナイト』。こちらもハリボテのバットポットにまたがり、
♪10億ドルも稼いだのにマンガだからノミネートされないの?
と歌う。映画ファンの叫びを代弁した痛快なメッセージソング。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』パートでは、顔の部分だけくり抜かれた、子供から老人までの人形たちが登場。その1つ1つにジャックマンが自分の顔を当てはめていく。赤ん坊の体で一生懸命歌うジャックマンの姿が滑稽だ。ブラピも拍手で大喜び。

続く『フロスト×ニクソン』パートが実は最大の見せ場。最前列に座るアン・ハサウェイを抱きかかえ、ステージに連れて行くジャックマン。アメリカ国旗が飾られた安いセットの前にある椅子に座らせると、対面に自らも座って歌いだす。ジャックマンがフロスト役、ハサウェイがニクソン役の設定だ。

♪なぜテープを燃やさずに?
♪なんて答えればいいの?
♪18分が消去されてた
♪フランク・ランジェラが隣に座ってたのに!

装って困惑気味に合いの手を打っていたハサウェイだが、次第に回答の歌詞がびしっと決まりだし、ついにはジャックマンの手をとって踊りだす! 実はこれ、リハーサルが重ねられた演出のうちだったのだ。情熱的な2人のダンスは次第に怪しい方向へ。

♪フロスト君、君に恋してしまいそうだよ
♪ああニクソン、僕もだよ

会場笑い。ここでハサウェイはお役御免。会場の拍手に見送られて席に戻る。オイシイ役だった。
ジャックマンは休む間もなく次の『愛を読むひと』ナンバーに突入。ラメの入った金銀の衣装を着たダンサーたちに混じってハイテンポの踊りを見せる。

♪『愛を読むひと』、実はまだ見てないんだ
  『ダークナイト』のセット作りに忙しかったから
  この間劇場に行ったら長蛇の列が出来てたよ
  みんな『アイアンマン』の2回目を見に来てた


「おれはウルヴァリンだーーー!」

お次は『レスラー』。舞台にはレスリングのリングが登場。オレンジ色の照明が後ろからジャックマンを照らす。ひじのサポーターを身につけながら眉間に皺を寄せて歌いだすジャックマン。

♪おれはレスラー 孤独な男
  そしておれはヒュー・ジャックマン この日を待ってた

しきりに髪をかき上げるそぶりをしながらトップロープへと向かうジャックマン。『レスラー』でおなじみ、主人公が見せるトップロープからのジャンプ、その名も“ラム・ジャム”のパロディだ。トップロープの上で両手を挙げて熱唱するジャックマン。

♪不況が何だ おれは歌うぞ
  なんたってオスカーだ! 夢がかなったんだ
  おれはスラムドッグ おれはレスラー おれはリーダー(愛を読むひと)
  おれはウルヴァリンだーーーー!!!


■ 恒例の出席者いじり。ジャックマンはうまくこなせた?

最後もセルフパロディで締めた。どうせながらウルヴァリンの扮装をしてほしかったところだが、これでも十分お見事。
長いオープニング・ナンバーが終わると観客はスタンディング・オベーションでジャックマンを称える。やりきった表情のジャックマンもご機嫌の笑顔。ゲストで登場のハサウェイを称え、座席に駆け寄る。そして、1つ挟んで隣にいるフランク・ランジェラを見つけると、「あなたとキスしたくなくてアンに代役を頼んだんだ」


さすがの存在感!

お次は『レスラー』ナンバーで使ったひじのサポーターを持ってミッキー・ロークの元へ駆け寄り、「これお返しします」。純白のスーツにサングラスのローク。完全に浮いている! この存在感はタダモノではない。ジャックマン、「あなたが受賞したら7秒のディレイを20分にしますから」 どこかで聞いたことのあるようなジョーク。

続いてはブランジェリーナのもとへ。「今夜は2人の名前を5回以上言う契約になってるんです」とやって会場の笑いをとる。アンジーも大きなくちをあけて大笑い。

さらにはメリル・ストリープも標的に。「15回もノミネートされてるんですよ。最高記録です。彼女にはステロイド疑惑がかかってます ヤンキースのスター選手アレックス・ロドリゲスに対する疑惑で揺れるメジャーリーグ球界の深刻な問題を茶化したジョーク。ストリープ大うけ。力こぶを作るマネをしておどけてみせる。

以上でオープニングのパフォーマンスは終了。歌、踊り、そしてジョークもふんだんに。ミュージカル・ナンバーのユーモアはさすがにビリー・クリスタル版ほどのキレがなかったが、歌と踊りは数段上回った。これなら来年以降もホストを任せられる、と誰もが納得のレベルの高いパフォーマンス。好感度も高く、ジャックマンの知名度・認知度ともにうなぎのぼりだろう。この先ジャックマンがエンターテイナーとしての道を進むつもりなら、来年以降も授賞式ホストを続けることが得策なのは間違いない。どうやら本人もその道にまんざらでもないようなので、おそらく来年もオファーがあれば引き受ける気がするが……。
とにもかくにも、あっぱれ!ヒュー・ジャックマン!

その2へ続く


アカデミー賞サイト オスカーノユクエ
ご意見・ご感想は まで
::当サイトはリンクフリーです。
::当サイトはYahoo! JAPANの【アカデミー賞】に登録されています。
::当サイトは日経新聞で紹介されました。
::週刊朝日にてHollywood噂の先取り連載中。