その2 : 助演女優賞発表!ペネロペ・クルスが大興奮! |
■ 助演女優賞
ジャックマンのパフォーマンスが終わると、ステージの天井から巨大モニターがするすると降りてくる。モニターに映し出されるのは過去の助演女優賞受賞者の数々。感激の面持ちの受賞者たちが胸に手を当て、目に涙を浮かべ、オスカー像片手にスピーチしている。すると、モニターが縦に5つに割れ、5人の受賞者が映し出される。エヴァ・マリー・セイント、ゴールディー・ホーン、アンジェリカ・ヒューストン、ウーピー・ゴールドバーグ、ティルダ・スウィントン。5つのモニターが上にはけると、なんと紹介された5人の受賞者たちが一斉に登場! 今年の演技賞は5人の俳優たちがプレゼンターを務めるのだ! 何たる豪華さ! これには会場もスタンディング・オベーション。

何と5人のプレゼンターが登場! |
プレゼンター1人1人が今年の候補者たちを称えていく。エヴァ・マリー・セイントがヴィオラ・デイヴィスを。「短い出演時間で印象を残すのは大変なこと。もっとあなたを見たかった」
アンジェリカ・ヒューストンがペネロペ・クルスを。「美しい容姿の下に真のコメディエンヌが見えました」
ウーピー・ゴールドバーグはエイミー・アダムスを称賛。「修道女を演じるのは大変よね」とやって爆笑を誘う。ウーピー自身も『天使にラブ・ソングを』で修道女を演じているのだ。「顔が太って見えるし、衣装はいつも同じ。それに、愛を捧げる相手は上のほうにいるから映らない」笑いをとった後はちゃんと“仕事”をする。「彼女の演技の素晴らしさには疑う(ダウト)余地がないわ」。エイミーの大きな瞳は堪える涙で真っ赤になっている。
ゴールディー・ホーンはタラジ・P・ヘンソンに賛辞を贈る。ゴールディー、“永遠のアイドル”と自分で思っているのかどうか知らないが、若い時分とまったく変わらないゴージャスなブロンドヘアーと胸元の大きく開いたドレスには、若さへの固執がありありとみてとれる。それはともかく、「あなたの名演が、愛は無条件で永遠に続く贈り物だということを教えてくれました」
最後にティルダ・スウィントンがマリサ・トメイを称賛。スウィントンは短く刈り上げた髪に、首元まですっぽり覆った衣装で相変わらず中性的。「ストリッパーでも尊厳まで脱ぎ捨てる必要はないとあなたの演技が語っていた」
そしていよいよ受賞者発表。読み上げるのは前年ウィナーのスウィントン。読み上げられた名前はやはり下馬評通りペネロペ・クルス。クルス、一瞬息を飲んで「信じられない」といった表情を浮かべた後、隣に座る母(?)と抱擁を交わし、壇上へ。
他候補者のリアクション
エイミー・アダムス:閉じた口を緩ませて大きな拍手。
マリサ・トメイ:目いっぱいの笑顔で拍手。
ヴィオラ・デイヴィス:うっすら微笑んで控えめに拍手。
タラジ・P・ヘンソン:顔の前で大きな拍手。

興奮状態!でも美しいペネロペ |
クルス、壇上で待ち受ける5人のプレゼンターそれぞれとハグ&キス。5人もの先達たちに同時に祝福されるとは、今年の演技賞受賞者たちは幸せ者だ。ブルネットの長い髪を後ろでまとめ、うなじのラインを強調した肩の開いた純白のドレスに身を包んだクルス。対象作で見せたエキゾチックな色香は内に閉じ込め、清楚で可憐な淑女に変身している。
開口一番、「たった45秒で終われるはずがないわ」
昨年までの授賞式なら、45秒で強制的に退場の音楽が流れているところだ。しかし今年は違う。
「ここで気絶した人いる?私が初めてになるかも」場内笑い。
まずはアカデミー、共演者たちに感謝した後、対象作の監督ウディ・アレンに感謝。
「ウディ、素晴らしい役をありがとう。長年に渡って素晴らしい女性像を描き続けた監督です」
女性像を描き続けた監督と言えば……?そう、クルスとは名コンビのあの監督。
「ペドロ・アルモドヴァル監督も、素晴らしい女性役を何度も演じさせてくれました」ここで拍手。やはりクルスといえばアルモドヴァル。彼の作品で受賞するのが筋だった。
その後、家族やスタッフたちに感謝。ハーヴェイ・ワインスタインの名前も読み上げられる。すでに45秒はゆうに経過。
「故郷のアルコベンダスではオスカーなど夢物語です。夜遅くまで授賞式を見たものです。世界が1つになる瞬間だといつも感じていました。芸術とは形を問わず、時代を超えて世界共通の言語だからです。あらゆる手を尽くして守らねばなりません」
最後にスペイン語で同郷の俳優たちにエールを贈ると、5人のプレゼンターたちと舞台袖に退場。ゴールディー・ホーンがクルスの肩を抱く。
■ 脚本賞・脚色賞
ジャックマン「今夜は神秘的で骨の折れる映画作りのプロセスをご紹介しましょう」。映画の製作過程を順に追って賞が発表されるという、これまでにない手法。まず最初に発表されるのは、脚本賞と脚色賞だ。
巨大モニターに1枚の何も書かれていない紙が映し出される。その紙に文字がタイピングされていく。
“場所:コダック・シアター。アカデミー賞授賞式。2人のプレゼンターが登場。観客たちは2人の美しさに目を奪われて声も出ない”

ジョーク冴えたマーティンと好サポートのフェイ |
登場したプレゼンターはスティーヴ・マーティンとティナ・フェイというコメディアンコンビ。ナレーションの内容とは裏腹のプレゼンター登場に会場は大ウケ。
“2人の姿に嫉妬したひとを除いて観客は大興奮”
無言のマーティンとフェイ。
“観客は割れんばかりの拍手を贈る”
会場はナレーションに誘導されて大きな拍手。マーティンが感激!とばかりに大げさにリアクション。ここでようやくマーティンが口を開く。
「こんばんは、スティーヴ・マーティンです」
「ティナ・フェイです」
「……そして、スティーヴ・マーティンです」会場大爆笑。
フェイ「“書くことは永遠に生きること”とある人は言いました」
マーティン
「それを言ったやつは死にました」再び大爆笑。
フェイ「映画は優れた脚本から生まれます」
マーティン「優れたポスターからの場合もありますが」また笑い。ジョークが冴え渡る。
フェイ「最初はただの真っ白な紙」
マーティン「その紙は一本の木でした」爆笑。
フェイ「その木は小さな種でした」
マーティン「その種はエイリアンが我々の進化を促すために埋めたものです」業界内で広まりを見せている新興宗教サイエントロジーを皮肉ったジョークに今日一番の大爆笑。

「ミルク」のダスティン・ランス・ブラック |
ここでようやくノミニーの紹介。候補作のワンシーンを抜き出し、実際の脚本にどんなことが書かれているか紹介。台詞の多いシーンは意図的に避け、台詞以外の部分でいかに脚本の指示が詳細に渡っているかを説明する。
マーティンが読み上げたのは「ミルク」のダスティン・ランス・ブラック。なでつけたブロンドに面長のしょうゆ顔。なで肩の容姿が“いいひと”っぽさを全身で表している。
ショーン・ペンら関係者にひとしきり感謝の言葉を述べた後、若さに似合わぬ
スピーチを展開する。
「ハーヴェイ・ミルクはこれまで差別されてきた同性愛者に、自分たちも価値があり神に愛される存在だと教えてくれました。近い将来、皆さんもこの国で平等な権利を手にするでしょう」場内、割れんばかりの拍手。
マーティンとフェイが壇上に残り、続けて脚色賞のプレゼンターを務める。歌や踊りにたっぷり時間を使う分、こうした部分で時間の短縮を図る。決してやっつけではなく、演出の一部としてさりげなく時間短縮が行われているところがにくい。
フェイとマーティンが脚色賞の紹介を行うが、マーティンが台詞をしゃべっている間中、フェイがマーティンを熱い視線で見つめている。それに気づいたマーティン、フェイのほうを向いて冷たく一言。「オレに惚れるなよ」。場内大爆笑。マーティンらしいジョーク。この2人は大いに笑わせてくれたが、それもこれもフェイがマーティンの引き立て役に徹したからだろう。

「スラムドッグ~」のサイモン・ビューフォイ |
今度名前を名前を読み上げるのはフェイの役。読み上げたのは大方の予想通り「スラムドッグ$ミリオネア」のサイモン・ビューフォイの名前。英国人のビューフォイがイギリス訛りの英語でスピーチ。
「ひとにはそれぞれ一生縁がないと思う場所があります。私にとっては、月、南極、ミス・ユニバース、そしてここです」。ミス・ユニバースのところで微かに笑い。ジョークは冴えるがパフォーマンスがいまいちで観客も笑いどころを逃す。原作者、家族、妻、エージェント、デヴ・パテル、フレイダ・ピントらに感謝。そして最後に“三銃士”として共に戦ったダニー・ボイル監督と製作のクリスチャン・コルソンに感謝してスピーチ終了。