第84回アカデミー賞 ノミネーション一覧はこちら
[2012 Precursors] SAGでサプライズ続出!「ヘルプ」が大量受賞!
アメリカ俳優組合賞(SAG)の結果が発表されたが、各部門で下馬評と異なるサプライズ受賞が相次いだ。
主演男優賞を受賞したのは、本命のジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)でも対抗のブラッド・ピット(マネーボール)でもない第3の男、ジャン・デュジャルダン(アーティスト)。前哨戦ではこれまで2人の後塵を拝してきたが、最重要となるSAGでの受賞で一気にオスカー受賞が現実味を帯びてきた。これで本番でのオッズは本命クルーニーと同じくらいまで下がるのではないか。
主演女優賞も波乱。本命・対抗と目されていたメリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)、ミシェル・ウィリアムズ(マリリン 7日間の恋)がともに落選。受賞したのはヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)だった。デイヴィスは今年「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」でも印象的な演技を披露しており、合わせ技1本での受賞ということかもしれない。ともかく、本番を前にして強力な第3勢力が浮上し、予想はさらに難しくなってきた。
助演男優、助演女優賞部門は本命サイドでの決着。クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)はSAGを受賞したことで、オスカー像もほぼ手中にしたと言っていいだろう。82歳でのオスカー受賞は、ジェシカ・タンディ(ドライビング・Miss・デイジー)の80歳を超える歴代最年長での演技賞受賞となる。
助演女優賞受賞のオクタヴィア・スペンサー(ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)も前哨戦実績通りの強さを見せた。同作品からノミネートされているジェシカ・チャステインとの争いになると見られるが、オスカーでも優位は変わらないだろう。
そしてSAG作品賞にあたるアンサンブル映画賞は、2部門から受賞者を出した「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」が受賞。この賞はアカデミー賞作品賞への直結度も高く、会員への影響力は強い。本命視される「アーティスト」を破って受賞したことは大きな実績だ。
アメリカ俳優組合賞
アンサンブル演技賞 : ヘルプ ~心がつなぐストーリー~
主演男優賞 : ジャン・デュジャルダン(アーティスト)
主演女優賞 : ヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)
助演男優賞 : クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)
助演女優賞 : オクタヴィア・スペンサー(ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)
[ノミネーション予想] 作品賞
今年から、作品賞ノミネーション数は5~10作品の間で流動的に決定されることになった。得票ポイント上位10作品の中から、第1位票が最低でも5%以上のものがノミネート資格を得ることになる。下位得票が多く上位10作品に入ったとしても、第1位に選んだ票が5%に満たなければノミネートされないということで、つまり突き抜けた魅力を持つ映画のみがノミネート資格を得るということだ。
ここがノミネート作品を予想する上でひとつの大きなポイントになるだろう。"いい映画だけど1位に選ぶほどではない"というような作品は予想の選から外すのが妥当だ。例えばジョージ・クルーニー監督の新作「スーパー・チューズデー 正義を売った日」はアメリカ製作者組合賞(以下PGA)にサプライズ候補となったが、この1位票5%をクリアできるかどうか。スピルバーグ監督の「戦火の馬」もいい映画だが、名監督のフィルモグラフィと比較して格別な傑作という評価を得るのは難しく、会員たちは1位票を投じるのを躊躇うかもしれない。ブロードキャスト映画批評家賞(以下BFCA)にノミネートされている「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」も同様だ。批評家からの支持をそれほど得られていない本作に1位票5%を期待するのは酷かもしれない。
逆に1位票を多く稼ぎそうなのがテレンス・マリック監督の「ツリー・オブ・ライフ」だ。賛否両論激しい作品で、1位か無視かという両極端な評価になりそう。PGAとGGで候補落ちしたのが気がかりだが、逆転候補は十分にありうる。
他、PGAでサプライズ候補となった「ドラゴン・タトゥーの女」も侮れない。こちらも好き嫌いのはっきり分かれる作品で、1位票の獲得はクリアできそう。PGA候補の余波でオスカー候補の可能性もある。ただし、同じソニー配給でより有力視されている「マネーボール」とのバッティングはマイナス要因か。
重要3賞すべてにノミネートされているのは、「アーティスト」「ファミリー・ツリー」「ヘルプ 心がつなぐストーリー」「ヒューゴの不思議な発明」「ミッドナイト・イン・パリ」「マネーボール」「戦火の馬」と7作品もある。この中から条件を問題なくクリアできそうなのは、「アーティスト」「ファミリー・ツリー」「ヒューゴの不思議な発明」あたりで、人種問題を扱った「ヘルプ 心がつなぐストーリー」、会員にファンの多いウディ・アレン作品「ミッドナイト・イン・パリ」あたりも可能性は高そうだ。おそらくこの5作品が上位争いを展開し、残る5つの席を何作品が獲得できるかが焦点となるだろう。
残る6~10番目の席を予想するのに重要なポイントとして、前哨戦での脚本賞と編集賞実績が挙げられる。この2部門は映画のクオリティを決定する重要な役割を担うだけに、作品賞部門での実績同様に重視すべきだ。まず脚本賞部門で実績上位なのは「マネーボール」。NY、ボストン、ラスベガスなどの批評家賞で受賞している。また、「50/50 フィフティ・フィフティ」も多くの批評家賞で受賞。作品賞部門ではそれほど有力視されていないが、サプライズ候補の可能性はある。
編集賞部門での実績上位は「ツリー・オブ・ライフ」と「ドライヴ」。どちらも複数の批評家賞で受賞している。前者は編集監督組合賞でもノミネートされているだけに、本番でも候補入りする可能性が高い。
あともう1本、逆転ノミネートの可能性があるとすれば、昨夏ボックスオフィスをにぎわせたコメディー「Bridesmaids」だろう。「宇宙人ポール」でも好演したクリステン・ウィグが脚本・主演を務め、脇役メリッサ・マッカーシーの怪演もあって大ヒットを記録。批評家からも高い評価を得た。プロデューサーはやはりこの人、ジャド・アパトゥということでクオリティも保証付き。コメディーに厳しいアカデミー賞ではあるが、健闘を期待したい。
ノミネート予想
「アーティスト」(ワインスタイン・カンパニー)
「ファミリー・ツリー」(フォックス・サーチライト)
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」(ディズニー)
「ヒューゴの不思議な発明」(パラマウント)
「ミッドナイト・イン・パリ」(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス)
「マネーボール」(ソニー・ピクチャーズ)
「ツリー・オブ・ライフ」(フォックス・サーチライト)
[ノミネーション予想] 監督賞
作品賞部門でもTOP3に入っているミシェル・アザナヴィシウス(アーティスト)、アレクサンダー・ペイン(ファミリー・ツリー)、マーティン・スコセッシ(ヒューゴの不思議な発明)の3人は、重要3賞すべてにノミネートされており、オスカー候補は安泰。残る2枠をめぐる争いとなる。
筆頭はDGAとGGの2賞でノミネートされているウディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)。対象作は批評家から久々の快作と誉めそやされただけでなく、ボックスオフィスでキャリア最高の収益をあげた。作品賞部門でもノミネートが確実視されており、アレンのネームバリューからも候補の可能性は高い。
DGAノミニー最後の1人はデヴィッド・フィンチャー(ドラゴン・タトゥーの女)だが、そのままオスカー候補となる可能性は決して高くない。DGAとオスカーの直結度は高いが、ここ10年の実績を見ると5人すべてが一致した例は2回だけと少ない。ただし、フィンチャーは昨年「ソーシャル・ネットワーク」で受賞確実と言われながら落選した経緯があり、同業者からの同情票が期待できる。今年はDGAと5人すべて一致ということもありうる。
票が読めないのはテレンス・マリック(ツリー・オブ・ライフ)だ。カンヌで受賞した難解な叙事詩は、重要3賞ではあまり評価されていない。マリック自身も重要3賞からは完全に閉め出されており、前哨戦実績では他コンテンダーに完全に遅れをとっている。それでも同業者からのリスペクト厚いマリックだけに、大逆転での候補入りは十分に可能性がある。
GG賞ノミニーのジョージ・クルーニー(スーパー・チューズデー 正義を売った日)も有力コンテンダーの一角だが、主演男優賞部門でも有力視されており、こちらは見送られる公算が高い。「シリアナ」で助演男優賞を受賞した05年には、「グッドナイト&グッドラック」で監督賞にダブルノミネートされているが、その再現は難しいのでは。
ほか、ニコラス・ウィンディング・レフン(ドライヴ)とスティーヴン・スピルバーグ(戦火の馬)も有力。前者はまったく無名の存在だが、独自のスタイルが批評家の賞賛を浴びている。前哨戦序盤では快走を見せたものの、後半戦から失速。重要3賞でもBFCA候補のみにとどまった。スピルバーグはさすがの存在感も、こちらも重要3賞ではBFCA候補のみ。近年のスピルバーグ映画と比較しても突出した評価を受けているわけではなく、05年の「ミュンヘン」以来となる7度目の候補は難しいと見る。
ウルトラCは外国語映画の監督のエントリーだ。この部門では3年に1度くらいの頻度で突発的に発生する事象で、この10年でも02年のペドロ・アルモドヴァル(トーク・トゥ・ハー)、03年のフェルナンド・メイレレス(シティ・オブ・ゴッド)、07年のジュリアン・シュナーベル(潜水服は蝶の夢を見る)と3度例がある。順番的にはそろそろ外国語映画監督の抜擢があってもおかしくない頃だ。もし、今年がその順番にあたるとしたら、最有力候補は外国語映画賞部門で大本命視されているイラン映画「別離」のアスガー・ファルハディだろう。今年もっとも高く評価されている作品の1本で、主要部門でのノミネートも十分にあると噂されている。ただし、今年はすでにフランス映画の「アーティスト」が主要部門ノミネート確実なので、イラン映画にまで票が行き届くことはないかもしれない。
ノミネーション予想
ウディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)
ミシェル・アザナヴィシウス(アーティスト)
テレンス・マリック(ツリー・オブ・ライフ)
アレクサンダー・ペイン(ファミリー・ツリー)
マーティン・スコセッシ(ヒューゴの不思議な発明)
[ノミネーション予想] 主演男優賞
今年の主演男優賞部門はスターが大集合。今ハリウッドでもっとも人気と影響力がある3人の男優がノミネートの栄誉を勝ち取りそうだ。
SAG、GG、BFCAの重要3賞すべてにノミネートされたのは、ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)、レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)、ジャン・デュジャルダン(アーティスト)、ブラッド・ピット(マネーボール)の4人。俳優仲間のコネクションが得票の重要なポイントとなるだけに、クルーニー、ディカプリオ、ピットの3人は強力なコンテンダーだ。作品の評価も高いクルーニーとピットの2人は受賞まで争える有力候補で、ノミネートはまず堅い。一方のディカプリオは作品の評価が今ひとつ。他前哨戦でもノミネート止まりで受賞は1つもなく、ノミネート安泰とは言いがたい。重要3賞すべてでノミネートされているとはいえ、他候補に足下をすくわれる可能性も少なくない。
フランス人俳優ジャン・デュジャルダンはカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。対象作「アーティスト」が快進撃を続けており、その勢いを駆ってノミネートまでは問題なくクリアできそうだ。クルーニー、ピット、デュジャルダンの3人は当確、残る2つの椅子を5人の有力コンテンダーが奪い合うことになる。
最有力はマイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)。「イングロリアス・バスターズ」で注目を浴びた後は、「XMEN/ファースト・ジェネレーション」で若き日のマグニートーを演じて絶賛され、デヴィッド・クローネンバーグ監督の新作「A Dangerous Method」でもその演技を高く評価されている。今もっとも引く手あまたの人気者で、出世作となった「Hunger」で組んだスティーヴ・マックィーン監督との再コラボで初のオスカー候補を狙う。
同じマイケルならオスカー候補経験のあるマイケル・シャノン(テイク・シェルター)も要注目。重要3賞こそノミネートを逃したが、他の前哨戦では存在感を見せている。対象作がマイナーな分他のコンテンダーに比べて不利だが、シャノンの認知度は決して低くない。新生「スーパーマン」の悪役、ゾッド将軍役に抜擢されたことで今後さらなるブレイクが期待される演技派で、2度目のオスカー候補で弾みをつけたい。
ライアン・ゴズリング(ドライヴ)の存在も無視できない。2011年は大活躍で、「ドライヴ」のほかにも「スーパー・チューズデー/正義を売った日」、「ラブ・アゲイン」でも前哨戦に名を連ねた。ゴールデン・グローブ賞では「スーパー・チューズデー〜」(ドラマ部門)と「ラブ・アゲイン」(コメディ・ミュージカル部門)の2作品で同時ノミネートされており、評割れが心配だ。
キャリア豊富ながら1度もオスカー候補経験のないゲイリー・オールドマン(裏切りのサーカス)にとっても大きなチャンスだ。エキセントリックな演技はこれまで過小評価されてきたが、「裏切りのサーカス」ではイメージを覆す抑えた演技を披露し、賞賛を浴びている。作品の評価もすこぶる高く、初のオスカー候補となるか注目される。
SAGでサプライズ候補となったデミアン・ビチル(A Better Life)も有力候補。作品もビチル自身も無名の存在だが、何と言ってもSAGでの候補にはバリューがある。こうしたサプライズ候補はそのままオスカー候補になる確率も高く、決して侮れない。
さて結論だが、やはり重要3賞すべてでノミネートされているレオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)の優位はゆるがず。また、重要3賞のうち2賞でノミネートのマイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)も上位だろう。順当にいけばこの2人で決まるのでは。
ノミネーション予想
ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)
レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)
ジャン・デュジャルダン(アーティスト)
マイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)
ブラッド・ピット(マネーボール)
[ノミネーション予想] 主演女優賞
重要3賞(SAG、GG、BFCA)すべてにノミネートされているコンテンダーは、ヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ 心がつなぐストーリー)、メリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)、ティルダ・スウィントン(少年は残酷な弓を射る)、ミシェル・ウィリアムズ(マリリン 7日間の恋)の4人。彼女たちの他前哨戦での実績を見ても落選の可能性は低い。焦点は残る1つの席だ。
候補筆頭は、SAG、GGで候補のグレン・クルーズ(アルバート・ノッブス)。過去5回のオスカー候補実績がある大女優だが、まだ受賞経験はない。今回ノミネートされたとしても受賞までは難しいだろうが、これまでの功績が評価されて6回目のノミネートがあっておかしくない。
ただし、このところ主演女優賞部門では若手の積極的な評価が目立つ。昨年も21歳のジェニファー・ローレンス(ウインターズ・ボーン)がノミネートされ、一昨年もキャリー・マリガン(17歳の肖像)、ガボーレイ・シディベ(プレシャス)といった若い女優たちが候補入りしている。その傾向に今年当てはまるのは、GGにノミネートのルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女)と、BFCAにノミネートのエリザベス・オルセン(Martha Marcy May Marlene)だ。
前者は昨年の「ソーシャル・ネットワーク」で出番は少ないながらも確かな印象を残し、今回はその印象を180度ひっくり返すような強烈な役柄にチャレンジしている。その変身ぶりはインパクト大で得票につながりやすいだろう。問題は、対象作がかなり不適切な描写の多い過激な作品で、老会員の間には拒否反応を示すものも多そうだということ。また、スウェーデン製映画のリメイクとなる本作は、オリジナルが一昨年全米公開されたばかりでまだ会員の印象に強く残っている。とくにリスベット役を演じたノオミ・ラパスがその後ハリウッドでブレイクを果たしていることを思うと、彼女が残したインパクトを上回るのは並大抵ではない。
エリザベス・オルセンは、対象作「Martha Marcy May Marlene」がサンダンス映画祭で公開されると、早々にオスカー有力候補として注目を集めた。昨年のジェニファー・ローレンスとケースが酷似しており、作品のキーパーソンとなる共演者が同じくジョン・ローガンというのも奇妙な縁だ。初物好きの会員にはかっこうの投票対象で、初ノミネートの可能性はけっして低くない。ただし、マイナス材料をあげるとすれば、有名な姉たちの存在か。彼女の姉たちはTV番組で一世を風靡したメアリー&アシュレー・オルセン姉妹。ティーン時代にブレイクした彼女たちは、早熟なハリウッド・セレブとしてありがちなゴシップまみれの人生を歩み、業界では半ば嘲笑の的となってしまっている。あの姉たちと同じ轍を踏まなかったエリザベスは逆に賞賛されてしかるべきだが、オルセンという名前に拒否反応を示す会員も少なくないだろう。
もう一人忘れてはいけないのは、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞したキルスティン・ダンスト(メランコリア)だ。カンヌでの実績はあまりオスカーでは役に立たないが、キルスティンほど知名度のある女優なら話は別。問題はあのお騒がせものラース・フォン・トリアーに対するネガティブ票がどのくらいあるかだが、カンヌではそれを押しのけて女優賞を受賞したのだから、演技に対する評価は相当なものだ。逆転ノミネートがあっても不思議はない。
下馬評では実績豊富なグレン・クローズ有利も、予想はルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女)。可憐な容姿とは裏腹な野心と演技力は次世代のスターの素質十分。オスカー候補をきっかけにスターへの道を突き進んでほしい。
ノミネーション予想
ヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ 心がつなぐストーリー)
メリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)
ティルダ・スウィントン(少年は残酷な弓を射る)
ミシェル・ウィリアムズ(マリリン 7日間の恋)
ルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女)
[ノミネーション予想] 助演男優賞
混戦模様の助演男優賞部門。クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)が初受賞に向けて着実に実績を積み重ねているが、ノミネート予想はことのほか難しい。
重要3賞(SAG、GG、BFCA)すべてにノミネートされたのは、プラマーとケネス・ブラナー(マリリン 7日間の恋)の2人だけ。前哨戦でプラマーと一騎打ちを繰り広げているアルバート・ブルックス(ドライヴ)がSAGで候補落ちするというハプニングもあり、本番でも波乱があっておかしくない。
3賞のうち2賞で候補入りしているのは、アルバート・ブルックスのほかジョナ・ヒル(マネーボール)とニック・ノルティ(Warrior)だ。ノルティは前哨戦開始前はまったく下馬評にも上っていなかったが、後半に急遽追い上げた印象。91年の「サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方」では受賞を確実視されながら落選した過去もあり、キャリア賞賛票が集まる可能性は高い。
ジョナ・ヒルは従来のコメディ演技を封印して演技力開花。前作「僕の大切な人と、そのクソガキ」でも演技力の素質は見せており、今回の評価は決してフロックではない。ただし、その若さとコメディ俳優という先入観が得票を妨げる危険性はある。
アルバート・ブルックス(ドライヴ)は、SAGこそ候補から漏れたものの、他の前哨戦ではライバルのプラマーを上回る実績を残しているフロントランナー。アカデミー賞で候補落ちするようなことがあれば最大級のハプニングだ。おそらく役柄に対する嫌悪感が得票の邪魔をしているのだろうが、87年「ブロードキャスト・ニュース」以来のオスカー候補となる可能性は高い。
他、前哨戦実績上位はアンディ・サーキス(猿の惑星:創世記<ジェネシス>)、ジョン・ホークス(Martha Marcy May Marlene)、パットン・オズワルト(ヤング≒アダルト)、アーミー・ハマー(J・エドガー)、マックス・フォン・シドー(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)。
中でも注目はアンディ・サーキスだ。20世紀フォックスはしきりにサーキスにオスカーをとプッシュしており、その努力が実っていくつかの前哨戦で実績を残した。果たしてアカデミー会員たちはモーション・キャプチャーによるパフォーマンスを演技として認めるのかどうか。サーキスの演技力に対しては疑問の余地なく、焦点はモーション俳優を対象として認めるかどうかの1点に尽きる。モーション俳優のオスカー候補第1号誕生なるか注目だ。
ノミネーション予想
ケネス・ブラナー(マリリン 7日間の恋)
アルバート・ブルックス(ドライヴ)
ジョナ・ヒル(マネーボール)
ニック・ノルティ(Warrior)
クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)
外国語映画賞 第1次選考結果発表!「一枚のハガキ」落選
63カ国がエントリーした第84回アカデミー賞外国語映画賞部門の第1次選考が行われ、9作品が選ばれた。大本命とされるイランの「別離」が順当にランクインしたほか、ヴィム・ヴェンダース監督による実験的3D映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」(ドイツ)、安藤政信が出演する台湾映画「Warriors of the Rainbow: Seediq Bale」、「僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ」のアニエスカ・ホランド監督新作「In Darkness」(ポーランド)、「ボーフォート/レバノンからの撤退」でオスカー候補経験のあるヨセフ・シダー監督新作「Footnote」(イスラエル)などが最終選考に駒を進めた。
日本代表の「一枚のハガキ」は残念ながら落選。昨年の「告白」に続く第1次選考突破はならなかった。また、トロント国際映画祭で観客賞を受賞するなど前評判の高かった「Where Do We Go Now?」(レバノン)も落選。アカデミー賞に絡む確率の高いトロント観客賞受賞作だけに、独走する「別離」を阻止できるのはこの作品かと思われていたが、まさかの1次選考落選となってしまった。ほか、チャン・イーモウ監督新作にしてクリスチャン・ベール主演作「The Flowers of War」、ブラジルの大ヒット作「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」も選から漏れた。
第1次選考を突破した9作品の中からさらに最終選考が行われ、1月24日のノミネーション発表で5作品の候補作品が発表される。
■外国語映画賞 第1次選考突破作品
Bullhead(監督:Michael R. Roskam/ベルギー)
Monsieur Lazhar(監督:Philippe Falardeau/デンマーク)
Superclásico(監督:オーレ・クリスチャン・マセン/デンマーク)
Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち(監督:/ドイツ)
別離(監督: アスガー・ファルハディ/イラン)
Footnote(監督:ヨセフ・シダー/イスラエル)
Omar Killed Me(監督:ロシュディ・ゼム/モロッコ)
In Darkness(監督:アニエスカ・ホランド/ポーランド)
Warriors of the Rainbow: Seediq Bale(監督:Te-Sheng Wei/台湾)
[ノミネーション予想] 助演女優賞
最重要前哨戦のSAG(俳優組合賞)、GG(ゴールデン・グローブ賞)、BFCA(ブロードキャスト映画批評家教会賞)の3賞すべてにノミネートされたのは、ベレニス・べジョ(アーティスト)、オクタヴィア・スペンサー(ヘルプ 心がつなぐストーリー)、ジェシカ・チャスティン(ヘルプ 心がつなぐストーリー)の3人。この3人は他前哨戦でも堅実な実績を残しており、よほどのことがない限り落選はないだろう。唯一気がかりと言えば、今年大ブレイクしたジェシカ・チャスティンが対象作品で票われ(「ヘルプ」のほかに「ツリー・オブ・ライフ」「テイク・シェルター」あり)を起こしてしまうことくらいだが、前哨戦もほぼ「ヘルプ」で一致しているので問題ない。
残る2席をめぐって3人の有力候補が争う図式だ。1人目は有力作「ファミリー・ツリー」で大抜擢された新人シャイリーン・ウッドリー。ジョージ・クルーニー相手に一歩も引かない堂々たる演技が高く評価されている。2人目は夏に大ヒットしたコメディー「Bridesmaids」で強烈な個性を発揮してスターへの階段を登り始めたメリッサ・マッカーシー。3人目は「アルバート・ノッブス」で主演のグレン・クロースを食う熱演を見せていると言われるジャネット・マクティアだ。
前哨戦実績では互角の3者だが、作品の強さでシャイリーン・ウッドリーが一歩有利と見る。助演女優部門はもともと子役や新人女優に優しい部門で、過去にテイタム・オニール(ペーパー・ムーン)やアンナ・パキン(ピアノ・レッスン)、マリサ・トメイ(いとこのビニー)といった新人女優に賞を与えてきた例がある。会員たちにウッドリーの才能はまぶしく光るだろう。
コメディー「Bridesmaids」でエントリーのメリッサ・マッカーシーは多少色眼鏡で見られる可能性を否定できない。純粋な演技力ということで比較されたら、ジャネット・マクティアには太刀打ちできそうもない。
大逆転があるとすれば、キャリー・マリガン(SHAME シェイム)だ。マイケル・ファスベンダーに欲情される妹を演じるマリガンは、これまでの清楚なイメージを覆す熱演と評価されている。何といっても彼女はアカデミー会員から好かれており、2011年もう一本の出演作「ドライヴ」での演技も得票にプラスに働くかもしれない。
ノミネーション予想
ベレニス・ベジョ(アーティスト)
ジェシカ・チャステイン(ヘルプ 心がつなぐストーリー)
ジャネット・マクティア(アルバート・ノッブス)
オクタヴィア・スペンサー(ヘルプ 心がつなぐストーリー)
シャイリーン・ウッドリー(ファミリー・ツリー)
[2012 Precursors] 英国アカデミー賞ノミネーション発表!
英国アカデミー賞ノミネーション発表。授賞式は現地時間2月12日(日)に行われる。最多12部門でノミネートを勝ち取ったのは「アーティスト」。イギリスでの評価もすこぶる高い。これに続いたのは地元イギリス映画の「裏切りのサーカス」。作品賞、監督賞(トーマス・アルフレッドソン)、主演男優賞(ゲイリー・オールドマン)、脚色賞ほか11部門でノミネートされている。イギリス作品のみを対象とした英国作品賞部門では大本命といえそう。
主演男優賞部門ではレオナルド・ディカプリオ(J.エドガー)、マイケル・シャノン(テイク・シェルター)が落選。ここでは地元映画のゲイリー・オールドマンに利があるので、本番ではまだわからない。助演男優賞部門でも地の利を生かしたジム・ブロードベント(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)がノミネート。前哨戦で二番手を走るアルバート・ブルックス(ドライヴ)は、俳優組合賞に続きここでもまさかの候補落ち。役柄に対する拒否反応が得票に影響している模様。助演女優賞部門ではジュディ・デンチ(マリリン 7日間の恋」がサプライズ候補。こちらも地の利を生かした形か。
■ 作品賞
アーティスト(監督:ミシェル・アザナヴィシウス)
ファミリー・ツリー(監督:アレクサンダー・ペイン)
ドライヴ(監督:ニコラス・ウィンディング・レフン)
ヘルプ 心がつなぐストーリー(監督:テイト・テイラー)
裏切りのサーカス(監督:トーマス・アルフレッドソン)
■ 英国作品賞
マリリン 7日間の恋(監督:サイモン・カーティス)
アイルトン・セナ 音速の彼方へ(監督:アシフ・カパディア)
SHAME シェイム(監督:スティーヴ・マックイーン)
裏切りのサーカス(監督:トーマス・アルフレッドソン)
少年は残酷な弓を射る(監督:リン・ラムジー)
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[2012 Precursors] ブロードキャストを制したのは「アーティスト」!
最重要ブロードキャスト映画批評家協会賞は「アーティスト」が作品賞・監督賞をふくむ4部門で受賞し勝利を収めた。これで「アーティスト」が他を大きくリードしたのは確かだが、昨年も同批評家賞受賞の「ソーシャル・ネットワーク」がオスカーを逃しており、他作品にもまだまだ逆転のチャンスはある。
注目の主演男優賞はジョージ・クルーニーに軍配。同胞ブラッド・ピットのオスカー初受賞をアニキ分のクルーニーが阻止するのか、本番の結果にも注目だ。
主演女優賞部門はヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ)が受賞の小波乱。これまでの前哨戦ではミシェル・ウィリアムズ(マリリン 7日間の恋)とメリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)のマッチレースだったが、ここにきて第三の強力候補が誕生した。
■ 作品賞
アーティスト(監督:ミシェル・アザナヴィシウス)
■ 監督賞
ミシェル・アザナヴィシウス(アーティスト)
■ 主演男優賞
ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)
■ 主演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ 心がつなぐストーリー)
■ 助演男優賞
クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)
■ 助演女優賞
オクタヴィア・スペンサー(ヘルプ 心がつなぐストーリー)
■ アンサンブル演技賞
ヘルプ 心がつなぐストーリー
■ 若手俳優賞
トーマス・ホーン(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)
■ 脚本賞
ウディ・アレン(Midnight in Paris)
■ 脚色賞
アーロン・ソーキン、スティーヴン・ザイリアン(マネーボール)
■ 撮影賞
ヤヌス・カミンスキー(戦火の馬)
■ 編集賞
ドラゴン・タトゥーの女
■ 美術賞
ヒューゴの不思議な発明
■ 衣装デザイン賞
アーティスト
■ メイキャップ賞
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
■ 視覚効果賞
猿の惑星:創世記(ジェネシス)
■ 録音賞
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
■ 作曲賞
アーティスト
■ 主題歌賞
"Life's a Happy Song"(The Muppets)
■ コメディ映画賞
Bridesmaids
■ アクション映画賞
ドライヴ
■ アニメーション映画賞
ランゴ
■ 外国語映画賞
別離(イラン)
■ ドキュメンタリー映画賞
ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド
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